アニサキス
魚やイルカ、クジラなどの寄生虫です。サバ、アジ、サケ、カツオ、サンマ、イカ、ブリなどの生食による発症が多くなっています。白い糸クズのような見た目で2㎝ほどの長さがあるため、肉眼で確認することもできます。十分な加熱や冷凍で死滅します。内臓に寄生していますが、宿主の生物が死ぬと筋肉に移動してくるため、新鮮な刺身などを食べることでアニサキス症を発症します。人間は宿主にはなれないため、アニサキスは数日後に死にますが、感染すると激しい痛みを生じます。アニサキスは胃粘膜に身体の先端を刺しますが、痛み自体はアレルギーによって起こっているとされています。
アニサキスの症状
胃アニサキス症
生や加熱が十分ではない魚やイカを食べてから数時間～数十時間経過して、激しい胃痛が突然起こります。痛みには波があり、吐き気や嘔吐をともなうこともあります。胃カメラでアニサキスを除去でき、それによってほとんどの場合は速やかに痛みが治まります。心当たりがあってこうした症状が現れた場合は、できるだけ早くいらしてください。
腸アニサキス症
生や加熱が十分ではない魚やイカを食べてから十数時間から数日後、強い下腹部痛が突然起こります。嘔吐や発熱、頻脈を起こすことがあり、まれですが腸閉塞や穿孔などの重大な症状を起こすことがあるため早急な受診が重要です。時間がかなり経過してから発症するため、口にしたものをなかなか思い出せないこともあり、アニサキスだとわかるまでに時間がかかることもあります。問診やCT検査で診断します。
消化管外アニサキス症
アニサキスが腹腔内に脱出して肉芽腫を作っている状態です。症状は肉芽腫ができた場所によって異なります。
アニサキスアレルギー
アニサキスにアレルギーがあって発症します。アニサキスを完全に除去してあっても症状を起こしますし、加熱や冷凍によってアニサキスが死んでいる状態で食べても発症します。サバなどでアレルギーを起こすのはアニサキスアレルギーの可能性が高くなります。危険なアナフィラキシーを起こして呼吸困難に陥ることもあるため、早急な受診が必要ですし、加工品も含め口にする魚を十分注意して選ぶ必要があります。
アニサキスの治療
胃カメラによるアニサキスの除去でほとんどは症状が速やかに治まります。痛みが残る場合には、鎮痛剤や抗アレルギー薬、抗ヒスタミン剤、ステロイドなどを処方することもあります。
腸アニサキス症の治療
小腸は内視鏡による除去ができないため、絶食や点滴などの対症療法を行っていきます。腸閉塞や穿孔を起こした場合には手術が必要です。
予防
肉眼でも見えるため、丁寧に処理することで発症をかなりの確率で予防できます。しっかり加熱する、あるいはマイナス20度で24時間以上冷凍することでアニサキスは死滅します。刺身も解凍したものであれば安心して食べられます。ただし、アレルギーがある場合には除去したもの、加熱冷凍したものでも症状が出ます。リスクのある魚介類は避ける方が安全です。
